コンビネーション

異国では当たり前のように起こる、「前言撤回」と「一寸先は闇」のコンビネーション(別名大どんでん返しともいう)。
さあ、今日も起りましたよ。

今日、課長からお呼びがかかったので、何かと思えば、
「会社が査証のスポンサーをするということだったけど、それはできなくなりました。」
……はい？

取り乱さずに、とても冷静に適切に、そして笑顔さえも交えて、お話ができた自分を、褒めます。ええ。

異国に住むと、上記のコンビネーションがよく起こるし、仕事上で強敵との会議や、危機管理の波にさらされたのがよかったのかしら。

会社側としては、?経済的にスポンサー料金を払うのが難しい、?まなという前例を作ってしまったら、ほかの人を断るわけにはいかなくなる。
という論理だそうです。

「もし、私が全額お支払いするとすれば、どうなるんですか？」
と尋ねると、課長、目がテン。
「そういう選択肢については、考えてもみなかったですね。また社長と重役と会議を開いて、協議してみることにします。」
?に関しては素直に、「それについては、私からは何も申し上げられません…。大丈夫ですよ、って言える立場でもないですし。」と、いうのが精いっぱい。だって、ねえ、ほんとにそうだもの…。

会社にとってはとても煩雑な手続きになるというのは重々承知してます。でも、お金のことだけが障害になるのは、私としては不本意です。お支払いする意思はあります、とお伝えしておきました。

あとは、
会社にとっては一社員の滞在期間、っていう小さなことかもしれないけど、私にとっては人生を左右する大きな決断だということを、わかってもらうしかないのかな。
熱意に訴えるしかないのかな。
…と思い（だってそれくらいしか売れる部分ないんだもの…）、とりあえず、ひとしきり、重要性を語りました。

私にとってはこの会社に残るか、それとも日本に帰るか、っていう決断なんです、っていうのをお伝えして、
この仕事は、私にとってずっとやりたかった仕事で、今までずっと楽しんでやってきたし、これからも熱意を持ってやり続けていく覚悟だといって、
「私はまだこの国で成し遂げたいことがたくさんあって、日本に帰る心の準備はできてないんです。」と、淡々と語って…って、とっさには、こういうポイントで訴えるくらいしか思い浮かばなかったなぁ。

課長は聞き上手なので、うんうんと話を聞いてくれて、私のスキルとかいいところを言語化してくれたけれど…なんとなく、もう決定は出ていて、課長は変えられる立場じゃないというのをにおわされたようにも感じました。
また話し合ってみるとは言ってくれたけれど…以前みたいに、まなが残れるように、頑張って交渉するから！っていう覇気がみられなかったもんな。

自分のオフィスに戻ったとき、ちょっと涙が出そうだったけれど、ここで泣くのは悔しい！
こういう時にこそ、生産性を下げないところを証明したい！と、仕事しました(--;)。
泣いちゃう前に、帰れよ、自分…と呆れつつ。

いつもより残業を早めに切り上げて帰ってのは、用事があったからなんですけど、「やっぱりショックで早くお家に帰っちゃったのかしら。」と思われるのが悔しい！
用事があるだけなのに！

…と思うのって、負けず嫌い？
日ごろ全然そういうの気にしないので、仕事に関してはプロでありたいと思いつめてしまう自分にびっくりです。

ビルを出るまでは、必死に涙をこらえてたので(万が一同僚に見つかったらいやだ)、出て数分で、ぽろぽろぽろ。

人は、国籍を有する国に住む権利しかない。
住む国を、選ぶ権利はない。
というシンプルな真実に直面したことが、悲しかったんです。
わかってたけどさ。

私にとっては、住む場所を自由に決めるって言うのは、とてもシンプルで基本的なニーズなんですけど、ないんですよ、そういうことができる法的な保障。

そのことが、今日はひたすら悲しく思ったのでした。
私が、この国で生まれなかったから、いられないのか、と。

日本が嫌いなわけでは決してないけれど、私の夢と目標を体現するまでは、帰れない。
そういう気持ちが強いので。

2，3週間後に、課長が、話し合いの結果を教えてくれるそうです。
いい結果だといいな…。